
入団式も終わり、今年度の活動が始まりました。
今日は、またサッカーの話ではないですが、最後まで読んでいただければ嬉しいです。
私の子どもが小さかった時、夜眠る前によく読んだ本に、「ベロ出しチョンマ」という本がありました。今思うと、子どもには少し難しい本だったかも知れません。
でもそのころから、児童文学作家の斎藤隆介さんの作品が好きだったのでしょう。
以前このコーナーで「あとかたづけ」というタイトルで書いたことがあります。
その中で「ひさの星」に添えてという斎藤さんの文章を載せました。
ところで、斎藤さんの作品で私が一番好きな作品に「花さき山」というのがあります。
一ついいことをすれば一つ花が咲くというお話です。
教員をしていた最後の授業だったと思います。この作品を取り上げました。
登場人物などを白い不織布に切り取り、蛍光ペンで色付けし、ブラックライトで浮き上がらせてお話を展開しました。
お花はカラーのちり紙を折りたたんで、ホッチキスで止め、1枚1枚広げて花を咲かせました。それらの花を画面に張り付けたのです。
「ひさの星」と同じように、「花さき山」で斎藤さんはこんなことを書かれています。紹介して終わりたいと思います。
「花さき山」に添えて
斎藤隆介
咲いている花を見ると思う。
この花を咲かせているものは、一体なんだろうーと。
花は、それがどんなに小さい花でもー、たとえば、赤んぼのちいさいちいさい足の指の、その先の爪ほどの花でも、ちゃんと紫に咲いている。
芯に黄色いシベもひそめていたりする。夕べになるとちいさいちいさい花びらを畳み、朝になると露をのせてまた開く。
あのほそい茎を通して、土からなにものかを吸いあげて、春を、夏を、または、秋を咲き通す。
あの茎を吸い上がって行くもの、花を咲かせているものはなんだろうと思うー。
青空にそびえる山を見ると思う。
大地からもり上って、ズンガと陽の中に座りこんでいる山を見ると思う。この量感を支えているものは一体なんだろうーと。
山を大地から盛り上げた力、いまも中から張って、空にそびえさせているみなぎる力は一体なんだろうと思う。
花を咲かせ、山を盛り上げている力、それはこれだ、という私の答えがこの、「花さき山」です。
しかもふつうの花を咲かせているだけでなく、ふつうの山を盛り上げているだけでなく、この世のものとも思えない花の中の花、山の中の山ー、その山がその花を咲かせているところー、それが花さき山です。(後略)
こういう思いを、私はこの国に古くから伝わる民話の形を借りて書いてみました。
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